第4回 「人間の効き感覚」とは
さて、第3回【アルフレッド・コージブスキーの逸話】は、いかがでしたか?
立ち止まって考えることはなかなかありませんが、同様の経験は、どこにでも見られますね。
事実は「ひとつ」ではなく人数分の解釈という現実
「1流・2流・3流芸能人」を見極めるというTV番組があります。
いつも、「いいもの」「上等なもの」に触れていると、視聴者は思い、9人もその様に言っているはずの芸能人が、スーパーで売っているお肉やワインと、ン十万~ン百万円するそれらの違いを見極められず、1流から滑り落ち、そのうち画面から消えていくことを、面白がるという筋書きのもの。
もちろん、面白くするための仕掛けはあるのですが、特に目を隠して食べるお肉のひとかけらなんて、本当にわかるのかなぁ????
少なくても、私はわからないという自信があります。
あははは♪
まっ、いずれにしろ、そんな風に、事実というものは「ひとつ」ではなく、人数分の解釈という現実があるわけです。
そして、それが同じ人はいないということ。
だから、お互い考えていることがわからないということは、当然なのだということが、NLPで明確になります。
「人間の利き感覚」について
人は、それぞれの五感を通して情報を処理し、各自の頭の中に唯一のオリジナルの「地図」を作るということは、前回お話ししましたね。
その際、「優位感覚」と呼ばれる、「利き感覚」が存在します。
利き腕のようなものでこれは人によって大きく異なり、この差が、コミュニケーションに大きく影響をします。
「利き感覚」とは、人の頭の中にある「地図」が、主にどの様な感覚を通して作られてきたかを表すもので、これを理解し、上手に使うことができるようになると、人との関係において柔軟性を発揮しやすくなります。
これは、自分を人から理解してもらうことを助けてくれる、情報処理・識別のための「方法論」であり、非常に効果的な「コミュニケーションテクニック」なのです。
相手が、いつもどの感覚に一番アクセスしているかを、識別理解し、それに合わせて言葉を使っていくと、今まではなんとなくコミュニケーションがうまくいかなかった相手とも、驚くほどスムーズに相互理解が進みます。
それぞれの利き感覚の特徴
一般的に、
☆「視覚優位」の人は、相手の顔や全体を見ようとするので、接近することより、距離をとろうとする傾向があり、イメージが一度に沢山浮かんでくるので情報量が多く、それを一度に伝えようとするので早口になります。
視覚優位な人とのコミュニケーションには、相手に「イメージ」してもらえるかどうかがポイントですので、グラフやデザインなどで、視覚的にイメージしやすい表現を心がけると、理解が進みます。
〈視覚優位の人の注意点〉
話が一方的になる時があります、人の話は最後まで良く聞きましょう
目に見える結果だけにとらわれ、いらいらする傾向に気をつけましょう
〈長所〉
将来を描くことができますので、
現状にとらわれない「良いリーダー」になる可能性があります。
一度に沢山の情報を処理する能力に長けています。
☆「聴覚優位」の人は、「聞く」ということを優先し集中しますので、相手の顔や目を見るより、耳をその方向へ向ける傾向があり、会話は中程度の速度です。
そして、音や言葉や、「文字」「言葉」に敏感な傾向があります。
聴覚優位な人とのコミュニケーションは、
筋道だった論理的な内容で、
数字のデータなどを織り込みながら、
相手の声のトーンに合わせ、
言葉を大切に会話をすると、スムースに運びます。
〈聴覚優位な人の注意点〉
自分の未体験な事象を想像することが苦手で、
そこにとらわれ将来を見ることが不得意な傾向があります
人の話の矛盾が気になって、その先を理解できない時があります
〈長所〉
現状分析は冷静で優秀です
人の話をよく聞くことができます
☆「身体感覚優位」の人は、相手と接近して話す傾向があり、まず「どんな感じか・・・・」と、身体感覚で確かめますので、のんびりとしたペースで、返答が遅いのが特徴です。
これは身体感覚で受け止め、確認してから言葉にするので時間が掛かる傾向があるからです。
会話の中に、感覚的な表現が多く、材質や温度に関する情報もよく用います。
身体感覚優位な人とのコミュニケーションは、感覚的な表現を使い、相手を居心地良くさせてあげることが重要で、実際に接触することも効果的です。
〈身体感覚優位の人の注意点〉
このタイプの人は、傷つき易く、トラウマを抱えることがあります。
簡単に気持ちを切り替えられないので、丁寧に接してあげることを心がけましょう。
〈長所〉
穏やかで、落ち着いていて、ひとつのことにじっくり取り組めます
それぞれの利き感覚の具体的な事例
★たとえば・・・★
あなたの部下が、何度言ってもあなたの指示通りに仕事をしてくれない場合、あなたはどのような言葉で指示を与えていますか?
相手は、どの様にその指示に反応していますか?
その部下が、「身体感覚優位」で、あなたが「視覚優位」の場合、部下の反応が遅いと、
「こいつは無能だ」とか、
「人の言うことを聞いているのか」、
などとレッテルを貼りがちです。
★たとえば・・・★
「聴覚優位の子供」が、「視覚優位の親」に怒られているとき、「聴覚優位の子供」は、親の言うことをよく聞こうとして、耳を親のほうへ傾けますが、「視覚優位の親」は、「きちんとこっちを見て聞きなさい」と更に怒り、子供の顎をつかんで自分のほうを向かせようとします。
★たとえば・・・★
「視覚優位の夫」が、最愛の妻の全体を視野に収めるため距離をとって会話をしたとき、「身体感覚優位の妻」は、その距離が愛情の量のバロメーターだと誤解し、傷つきます。
「身体感覚優位の妻」にとって大切なスキンシップは、「視覚優位の夫」の視野を妨げるので、近づく妻から更に距離をとろうとするという、悲しいすれ違いを生むことになるのです。
あなたはどのタイプ?
さて、あなたはどのタイプですか?
自分のタイプがわかることって、とても大切です。
自分がどのタイプかわかると、人のタイプもわかるようになります。
その結果、コミュニケーションにおける「無駄」が省けます。
ストレスが激減しますよ。