第8回 マッチング
コミュニケーションの際、何か違和感があり、意思がうまく伝わらないと感じる時は、各自が持ってる「頭の中の地図」を調整することが必要です。
NLPでは、これを「マッチング」と呼びます。
マッチングとは
マッチングとは、相手と信頼関係を築くために、呼吸、動き、表情、価値観、話し方、言語などを合わせていく手法です。
このマッチングの基礎が、「ペーシング」です。
【ペーシング】とは、相手の「頭の中の地図」に合わせる為に、「同じ姿勢」「同じ語感」「同じ方向」などの、五感で感じるものを使って、その人にフィードバックし返すことです。
マッチングの基礎「ペーシング」
ペーシングのテクニックとして以下のものがあります。
ミラーリング
≪ミラーリング≫・・・相手の動作に合わせること相手の姿勢、しぐさ、呼吸、言葉使い、声の大きさ、話す速度などを真似て返します。
例えば、相手がお茶を飲んだら自分もお茶を飲み、相手が足を組んだら自分も足を組む、相手が頭に手をやったら、自分も頭に手をやる。
相手が頷いたら、頷く・・等。
呼吸を合わせることも、そのひとつです。
話に少し沈黙ができた時、相手が息を吐き出す瞬間に合わせて話し始めると呼吸が合ってきます。
これは腕利きのセールスマンや、一流のホステスさんが、さりげなく使っている強力なテクニックであり、一般的にも公私ともに使えるテクニックです。
そのようにすることで、相手に自分とリズムが合っていると感じさせ、無意識レベルでの安心感を与え、結果、深い信頼関係を築いていくことができます。
ただ、単純にあまりしつこくすると、「猿真似」になるので、エレガントに取り入れるデリケートさは必要です。
クロスマッチング
《クロスマッチング》
露骨なミラーリングを避けるために、「クロスマッチング」が有効です。
「クロスマッチング」は、たとえば、たとえば、
相手の頷くペースに合わせて、手に持っているペンでデスクの上を軽く叩く、
相手が脚を組んだら、自分は手を重ねる、
といった、相手が表現しているものとは、別の要素でマッチングを試みるというテクニックです。
バック・トラック
≪バック・トラック≫・・・オウム返し
バック・トラックとは、相手の発言の語尾やキーワードなどをそのまま返すことで、「オウム返し」とも呼ばれます。
たとえば、「今日は忙しかったんです。」という発言に対して、「今日は忙しかったんですね。」というように返します。
バック・トラックを使うことによって、相手は自分の話を聞いてもらえている、受け止めてもらえているという充足感を得て、さらに話を聞いてもらいたいと感じ、話が弾みます。
自分が使った言葉と同じ言葉を使われることによって、人は自分が肯定されていると感じ、安心感が生まれるのです。
ここにとても大切な意味があります。
バック・トラックは相手の言葉を繰り返しますが、完璧にコピーする必要はありません。
「キーワード」や「重要な要素」を上手に取り入れて、端的に返答するのがポイントです。
相手は、自分が話したことの大事なキーワードを返してもらうことで、きちんと理解してもらっているという安心感が生まれるのです。
またそれと同時に、相手の考えていることの世界を広げ、思考を深め、見つめ直すきっかけを与えます。
これはコーチングでも、重要視しているテクニックです。
マッチングを活用しよう
私たちは似ている相手や近いと感じる相手に「親近感」を覚えて、心の距離が近まります。
そこで、相手に似ていると感じさせるような姿勢や話し方で相手に合わせていくと安心が生まれるわけです。
同時に、相手の立場に身を置く体験となり、その人の内的地図を経験することにもなります。
練習を重ねて。エレガントに使えるようになってくださいね♪