第5回 アンカリング
「アンカリング」とは一瞬で自分の感情をコントロールする方法です。
アンカリングが引き出す現象
アンカリングとは、ある特定の情報や行動(外的・内的刺激)が、特定の行動・記憶、あるいは感情・衝動(内的反応)を引き出す現象のことです。
☆たとえば、ある歌を聞いた途端、その曲が流行っていた頃の出来事、「失恋」とか、「難関だった試験にパスした」等の記憶が、五感を伴って蘇ってくる。
☆たとえば、ハワイの映像を見ると、波の音や、頬にあたるそよ風を思い出し、心身共に安らぐ。
☆たとえば、映画ロッキーの曲を聞くと、階段上で両手を挙げガッツポーズをしているシーンが蘇り、ロッキーになったように、やる気が出る。
☆たとえば、特定の辛さの刺激を受けると、ガンジスの夕日や、喧騒がリアルに感じて、ンド旅行の楽しさを思い出す。
これらは、何も特別なものではなく、普段の生活でもよくあるアンカーの例ですね。
アンカリングは外的刺激(又は内的刺激)と内的反応の結びつき
「パブロフの犬」の実験はご存知の方が多いと思います。
犬にベルの音を聞かせてから餌を与えることを続けると、ベルの音を聞いただけでヨダレを出すようになる、というものです。
アンカリングはこの「パブロフの犬」と似た反応ですが、パブロフの犬の場合は、「外的刺激(ベルの音)と、外的反応(よだれを垂らす行為)」との結び付けである一方で、アンカリングは、「外的刺激(又は内的刺激)と内的反応」の、結びつきであるという違いがあります。
そして、パブロフの犬の場合、刺激と反応の関係を確立するまで何度も実験を繰り返す必要がありましたが、アンカリングでは、通常1回の試みでこの結びつきを確立することができます。
アンカリングとは、このように五感を通して起こった一定の刺激に対して、一定の条件づけられた反応を引き起こす現象のことです。
パブロフの犬の場合ベルという【刺激】とヨダレという【反応】が結びつき、条件付けされる訳です。
アンカリングは内的状態=精神状態の条件付け
そして実は、私たちは、常にこのようなアンカリングによって、内的状態=精神状態の条件付けをしているのです。
そのメカニズムが発生したのは、今ではない過去のものなのに、それにいつまでも振り回されたり、コントロールされるのです。
もう、すでにそれ自体は終わったことなのにね。
通常私が開催するNLPのセミナーでは、自分の手を握るだけで自動的にリラックスしたりやる気を出したりするアンカーを作るトレーニングもします。
このアンカーは「一生もの」で、とても辛い記憶も、一瞬で書き換えることが可能です。
その為に活用するワークはとても簡単で、楽しいものなのに、効果は絶大です。
アンカーの活用例
以下のような大事な場面で、自分を望む状態にすることができます。
- 人前で話す時、重要な会議の時に、自信のある状態になります。
- テストを、リラックスした状態で、受けられます。
- 怒りの感情が沸いた時に、気持ちを切り替えられるようになります。
- クライアントとの大事な交渉時、最高のプレゼンができるようになります。
- 家族や大切な人に、本当に伝えたいことが素直に言えるようになります。
- 辛いことを思い出しても、感情が伴わなくなります。
- ・・・・etc
このアンカリングのプロセスを意識し、自由に使いこなせるようになると、自分自身の内的状態=精神状態をコントロールできるようになり、新たな選択肢、新たな反応、対応を見つける余裕が生まれてきます。
自分の潜在力を「良きアンカー」によって喚起し、過去の出来事=過ぎ去ってしまった事象に振り回され、傷つく自分から卒業し、新たな選択に飛び込む勇気を得、自分自身の思い込み、前提、固定観念から、自由になりましょう
NLPのアンカリングのテクニックを使うと、いつでも自分を最高の状態を持っていけるようにアンカーを設定することができますよ。